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発明の名称: 回生機としてエキスパンダーを備えた容積型機関
技術分野

[0001]  本発明は、気体の圧力エネルギーを動力に変換する回生機としてエキスパ
ンダー(容積型膨張機)を備えた容積型機関のパーシャル効率改善に関する。
背景技術
[0002]  エキスパンダーは、これまでランキンサイクルなど高い圧力の動力変換に
利用されてきたので、常に膨張比が不足した状態で使われていた。そのため
回転数変化に対してバルブタイミングを変化させることはあっても、吸気圧
の変化に対してバルブタイミングを変化させる考えはなかった。
[0003]  容積型機関の排気の圧力エネルギーの回生にエキスパンダー(容積型膨張機
)を回生機として用いることは知られている(特許文献1参照)。回生機と容
積型機関との間の動力伝達機構に変速機を介したり(特許文献1参照)、こ
の回生機の出力で発電機を駆動したり(特許文献2参照)することで、回生
機の回転数を容積型機関に対して調整可能とし、パーシャル時のガス流量の
低下に対応することは知られている。
特許文献1:特開2006-348947 図13
特許文献2:特許第378725号図2

発明の開示
発明が解決しようとする課題

[0004]  エキスパンダーは一般的には膨張比が固定されているため、吸気圧が低下
した場合には、エキスパンダーの内部でガスが過膨張することになり、ポン
ピングロスが発生する。回生機としてエキスパンダーを用いた場合、機関全
体がパーシャル状態となり容積型機関の排気圧が低下すると回生機の効率が
低下するので問題となる。
[0005]  ガス流量の低下に対して、回生機と容積型機関との間の動力伝達機構に変
速機を介し、回生機の回転数を調整可能としようとする場合、無段階に変速

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2009/09/01 サイトリニューアルしました。

特許技術

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可能なものが望まれるので、動力伝達機構が複雑化する。発電機を用いた場
合には、発電した電気を吸収する機能も必要となり、システムは更に大型化
する。
[0006]  しかし、回生機の回転数を調整可能としても、エキスパンダーの膨張比は
変わらない。吸気圧の低下に対して、エキスパンダーの回転数を下げ、ポン
ピングロスを無くすことは、エキスパンダーの吸気圧が変化しないことを意
味する。パーシャル時にも容積型機関の排気圧が一定に保たれると、スロッ
トルなどで絞られ減圧された吸気に対して排気の圧力が高くなり過ぎ、異常
燃焼やバックファイヤーなどの不具合が発生する。
[0007]  この時、更にエキスパンダーの吸気バルブに可変バルブ機構を備え、パー
シャル時にはバルブ開角を広げ、エキスパンダーの受け入れるガス容積を増
やすことで容積型機関の排気圧を低下させる手段は考えられる。しかし、シ
ステムは更に複雑になってしまう。
課題を解決するための手段
[0008]  回生機としてのエキスパンダーの排気バルブに、開タイミングを遅らせる
ほど総開角が狭くなる可変バルブ機構を備え、機関全体の吸気圧が高まるほ
どエキスパンダーの排気バルブの開タイミングを早める。
発明の効果
[0009]  パーシャル状態では、エキスパンダー内で一旦ガスを所定の膨張比で過膨
張させるので負圧となるが、この負圧をエキスパンダーが再度動力に変換す
るのでポンピングロスの発生が無い。すなわちパーシャル時の効率が高い。
[0010]  回生機と容積型機関を固定レシオで接続することが出来るので、容積型機
関と回生機の出力を1つにまとめる場合の動力伝達機構が簡易になる。
[0011]  更に、エキスパンダーのピストンの背面をコンプレッサー(容積型圧縮機
)の圧縮室に利用して過給機として用いることにより、最も直接的に回生機
からの動力で過給機を駆動でき、効率が良い。また、容積型機関と過給機の
動力伝達系が不要となる。更に、当該コンプレッサーの吸気バルブにも可変
機構を備えることにより、過給圧を大気圧以下にまで制御可能とし、過給圧
で出力の制御が可能となる。スロットルバルブが省略でき、パーシャル時の
容積型機関のポンピングロスが削減される。
図面の簡単な説明
[0012] [図1]クランクピンを共通とした容積型機関とエキスパンダー兼コンプレッサ
ーの断面図(実施例1)
[図2]エキスパンダーの排気バルブとコンプレッサーの吸気バルブ部分の拡大
図(実施例1)
[図3]エキスパンダーの排気バルブの作動説明図(実施例1)
[図4]コンプレッサーの吸気バルブとエキスパンダーの排気バルブの開閉タイ
ミングの説明図(実施例1)
[図5]コンプレッサーの排気バルブとエキスパンダーの吸気バルブの開閉タイ
ミングの説明図(実施例1)
[図6]コンプレッサーの吸気バルブとエキスパンダーの排気バルブの可変バル
ブ機構の連動機構説明図(実施例1)
[図7]斜板式エキスパンダー兼コンプレッサーの断面図(実施例2)
[図8]同エキスパンダー部分のX-X断面図(実施例2)
[図9]斜板式エキスパンダーの排気バルブと排気ポート、及びコンプレッサー
の吸気バルブと吸気ポートの展開配置図(実施例2)
[図10]斜板式エキスパンダーと容積型機関の動力伝達系のスケルトン図(実
施例3、4、5)
[図11]トーションダンパーのトルク特性図(実施例5)
[図12]クランクピンを共通とした単気筒容積型機関とエキスパンダーの断面
図(実施例6)
[図13]同コンプレッサー部分のY-Y断面図(実施例6)
符号の説明
[0013]  1 エキスパンダー
  2 容積型機関(6サイクル機関)
  3 コンプレッサー
  21 燃焼室
  22 排気マニホールド
  23 容積型機関シリンダー内壁面
  24 容積型機関連接棒
  25 容積型機関ピストン
  26 断熱キャップ
  30 フライホイール
  101 出力軸
  102 クランクピン
  105 連接棒
  110 ピストン
  111 ガスシール面(シリンダー内壁面)
  112 ガスシール部
  113 中央壁面
  114 ピストンピン
  115 摺動面(ピストンがスライドするシリンダー内壁面)
  121 膨張室
  130 吸気バルブ
  131,141,331 バルブ開口部
  132 吸気ポート
  140 排気バルブ
  142 排気ポート
  143,333 バルブスライド溝
  144,334 オイルシール
  151 斜板カム
  152 スライダー
  155,156 スプロケット
  158 チェーン
  161 バルブ駆動シャフト
  162,163 バルブ駆動ギヤ
  165,365 バルブ駆動コンロッド
  166,366 偏芯カム
  167,169 ピン
  168,368 ロッカーアーム
  171,371 制御軸
  172,372 ロッカーアーム支点軸
  173,174,373,374 バルブロッド
  175,375 バルブシフター
  180 スラストカム
  181,381 制御ピン
  321 圧縮室
  330 コンプレッサー吸気バルブ
  332 コンプレッサー吸気ポート
  340 コンプレッサー排気バルブ
  342 コンプレッサー排気ポート
  411 Vベルト
  412 プーリー
  421 フルカン
  431 一方向クラッチ
  441 連結チェーン
  510,540 摺動面構成部材
  512,542 フレキシブルガスシール
  520 シール面構成部材
  521 吸気フィルター
  530 コンプレッサー排気ポート構成部材
  541 オイルドレイン
  550 クランクケース
  562,563 ヘリカルギヤ
  570 ポート部材
発明を実施するための最良の形態
[0014]  本発明を図に表した実施例に基づき説明する。
実施例1
[0015]  図1は、本発明の1実施例の断面図である。2は容積型機関(6サイクル
機関)、1はその排気回生機としてのエキスパンダーである。当該実施例で
は、エキスパンダー1と容積型機関2はクランクピン102を共通としてい
る。本実施例の出力軸(クランクシャフト)101は左回りに回転している

[0016]  本実施例の6サイクル機関2は断熱機関となっており、ピストン25の上
面には断熱キャップ26が設けられ、当該断熱キャップ26、容積型機関シ
リンダー内壁面23の上部、燃焼室21、及び排気マニホールド22は表面
に断熱処理が施されている。当該断熱処理により、より高温のガスをエキス
パンダー1に送り込むことができる。
[0017]  本実施例のエキスパンダー1のピストン110は、上面を回生機としての
エキスパンターの膨張室121、下面を過給機としてのコンプレッサー3の
圧縮室321に用いている。
[0018]  本実施例のピストン110は、ピストンの摺動部側に被せる形でコップ状
に形成した傘状のヘッドを備えている。当該傘状のヘッドの外周にはエキス
パンダーの膨張室121とコンプレッサーの圧縮室321を仕切るガスシー
ル部112がある。シリンダーにはピストンがスライドする摺動面115と
、ガスシール部112がスライドするガスシール面111があり、これらは
同心の円筒面で形成されている。
[0019]  ガスシール面111とピストンのガスシール部112の必要クリアランス
を減らすためには、ガスシール部112の偏芯を極力減らす必要がある。当
該コップ状に形成した傘状のヘッドは、摺動部に対するガスシール部112
6
のオーバーハングを少なくし、ピストンの倒れの影響による偏芯を減らして
いる。また、ガスシール部112をピストン背面からコンプレッサー側の新
気により冷却できる利点もある。更に、本実施例のピストン110には出力
軸方向のセンターに剛性を高めるための中央壁面113が形成されており、
ピストンの変形による偏芯を抑制している。当該中央壁面113にヒストン
ピン114が勘合し、当該ヒストンピン114は両端を2本の連接棒105
で6サイクル機関の連接棒24の大端部に連結され、支えられている。
[0020]  全開時に6サイクル機関の排気の圧力エネルギーを全て回生しようとする
と、エキスパンダーの膨張室121の容積は、コンプレッサーの圧縮室32
1の2倍程度必要となる。しかし、本実施例では膨張室121の容積は圧縮
室321の1.2倍に設定されている。パーシャル時に余分な容量のエキス
パンダーを駆動する必要が無く、パーシャル効率が向上する。同時に回生機
としてのエキスパンダーを小型化できる利点がある。1倍程度の容積比でも
、圧力の高い部分の排気のエネルギー回生は可能であることから、全開時も
含めて充分排気圧回生による効率向上の効果が出る。
[0021]  エキスパンダー1及びコンプレッサー3の容積型機関側には、エキスパン
ダー1の吸気バルブ130と、コンプレッサーの排気バルブ340がある。
これらのロータリーバルブ130,340はクランクシャフト101が2回
転する間に左回りに1回転する。
[0022]  容積型機関の反対側には、エキスパンダーの排気バルブ140、及びコン
プレッサーの吸気バルブ330が備えられている。
[0023]  図2は、当該バルブ140、330部分の拡大図である。バルブ駆動シャ
フト161には、バルブ駆動用の偏芯カム166,366がおおよそ180
度の位置に備えられ、右回りに出力軸101と同一回転数で回転している。
駆動カム166,366からのそれぞれのバルブ駆動機構は、それぞれ同様
の機構が上下対称に備えられている。バルブ140,330はバルブスライ
ド溝143、333に沿って直線状を揺動運動し、それぞれエキスパンダー
の排気ポート142とコンプレッサーの吸気ポート332を開閉する。
[0024] .
  図3は、当該エキスパンダーの排気バルブ140の可変バルブ機構の説明
図である。コンプレッサーの吸気バルブは上下反転した構成をしているので
、説明は省略する。
[0025]  Fig.Aは、機関がアイドリング状態での排気バルブ140が排気ポー
ト142を最大に開口した時を示している。偏芯カム166からバルブ駆動
コンロッド167を介してロッカーアーム168がロッカーアーム支点軸1
72を中心に揺動する。更にこのロッカーアーム168の揺動運動に連動し
、バルブロッド173、バルブシフター175、バルブロッド174を介し
て排気バルブ140が上下に揺動運動する。
[0026]  二点鎖線aは、ロッド173のバルブシフター側の端部を中心とした円弧
で、本図のバルブ開口量と同一になるロッカーアームピン169の中心の軌
跡を示している。細線bは、制御軸171を回転した場合のロッカーアーム
が最大にリフトしたときのロッカーアームピン169の中心の軌跡を連続し
たものである。線aと線bが離れていくことから、制御軸171を本図の角
度から左に回転するほどバルブの最大開口量が増えていくのが理解される。
なお本図では線aを見やすくするためにロッカーアーム168の一部を切り
欠いている。
[0027]  Fig.Bは同じアイドリング状態で、排気バルブ140が閉じる側に最
大にリフトした時を示している。Fig.Cは機関が全開状態で、排気バ
ルブ140が排気ポート142を最大に開口した時、Fig.Dは機関が全
開状態で、排気バルブ140が閉じる側に最大にリフトした時を示している

[0028]  このように制御軸171を左に回転させることにより、バルブタイミング
を早めると同時にバルブの開口量および開角を広げている。コンプレッサー
の吸気バルブは上下反転した構成をしているので、制御軸371を右に回転
させることにより、バルブタイミングが遅くなり、同時にバルブの開口量お
よび開角を広がる。
[0029]  図4の左側の図は、過給機としてのコンプレッサーの吸気バルブの開閉タ
イミングを、ピストン下死点(BDC)を上(90度)方向として、左回転
で表している。右側の図は、回生機としてのエキスパンダーの排気バルブの
タイミングを、ピストン上死点(TDC)を上(90度)方向として、左回
転で表している。VOがバルブ開タイミング、VCがバルブ閉タイミングを
表している。一段目の図は全開時の過給圧が3気圧のとき、2段目は1.8
気圧のとき、3段目は1気圧とき、4段目は機関のアイドリングなどで用い
る0.5気圧のときのバルブタイミングを示している。
[0030]  本実施例では過給圧を下げるほど、コンプレッサーの吸気バルブの閉タイ
ミングを早め、同時に開角を狭めている。このようにすることで、コンプレ
ッサーの吸気量を変え、容積型機関の過給圧を制御することが出来る。従来
のスロットルバルブの機能を、過給圧を制御することで代替することが出来
るので、容積型機関のパーシャル時のポンピングロスが削減され、燃費が向
上する。
[0031]  更に本実施例では、過給圧を上るほど、吸気バルブの開タイミングも早め
ている。圧縮室321の容積がピストン下死点でゼロにはならないので、下
死点後、内部のガスが吸気圧まで膨張するまではバルブを開かない方が、吸
気ポートへの圧縮室321に残留したガスの逆流を防止し、残留ガスのエネ
ルギーを有効利用できるからである。
[0032]  エキスパンダーの排気バルブの開タイミングは、過給圧を下げるほど遅ら
せる。過給圧を下げるほど容積型機関の排気圧が下がり、エキスパンダーの
吸気圧が下がる。そのためエキスパンダーの下死点時の膨張室内部の負圧が
大きくなるので、その分余計に圧縮してから排気する。膨張室内部のガスの
負圧を再度動力に変換することが出来、ポンピングロスが削減される。
[0033]  なお、容積型機関の吸気バルブの早閉じと遅閉じの関係と同様に、エキス
パンダーの排気バルブの開タイミングを、過給圧を下げるほど下死点前の膨
張行程での同一のピストン位置まで進め、総開角を広げる方法も同様の発明
概念に含まれる。排気バルブを早めに開き、内部の圧力を排気側の大気圧と
したままその後の行程を行ってもポンピングロスが削減されるからである。
[0034]  エキスパンダーの吸気圧は、排気圧である大気圧より高いほど、排気圧の
ガスを圧縮しなければ、吸気圧と等しくならない。そのため、閉タイミング
を上死点前にした方が、吸気バルブが開いたときに吸気が膨張室内で自由膨
張することを抑制でき、回生効率が向上する。本実施例では、過給圧を下げ
るほど、この閉タイミングも遅らせている。
[0035]  エキスパンダーの排気バルブは、過給圧が3気圧のときと、1.8気圧の
ときであまりバルブタイミングを変化させていない。これは、本実施例では
膨張室121の容積を過給圧が1.8気圧のときに合わせて設定しているか
らである。3気圧のときと1.8気圧のときで同じバルブタイミングで済ま
せて妥協することも出来る。本実施例で開タイミングを3気圧の方で早めて
いるのは、ピストン下死点の膨張室内圧が排気圧より既に高いことと、より
高回転で使われる頻度が高いためである。
[0036]  図5の左側の図は、コンプレッサーの排気バルブタイミング、右側の図は
エキスパンダーの吸気バルブタイミングの説明図である。これらのバルブは
負荷によらず一定のタイミングで開閉する。
[0037]  図6は、コンプレッサーの吸気バルブとエキスパンダーの排気バルブの制
御軸の連動機構の説明図である。Fig.Aの制御軸171,371の回転
位置は機関が過給圧3気圧の全開状態の位置を示している。各制御軸171
,371には制御ピン181,381が打ち込まれており、この制御ピン1
81,381はスラストカム180に勘合している。スラストカム180を
出力軸方向に移動することで、各制御軸171,371が回転する。
[0038]  図6Fig.Bはスラストカム180をZ方向から見た展開図である。点
線の丸は展開図上のFig.Aの制御ピン181,381の位置を示してい
る。過給圧3気圧の位置である。2点鎖線は過給圧が1.8気圧と0.5気
圧の制御ピンの位置を示している。過給圧が0.5気圧から1.8気圧まで
の前半では、エキスパンダーの排気バルブ制御軸171はコンプレッサーの
制御シャフトに比べおおよそ倍の速度で回転する。これに対して1.8気圧
以降はあまり回転しない。
[0039]  本連動機構の発明概念は、容積型機関に対して適切な排気圧に合わせてエ
キスパンダーの排気バルブの開タイミングを制御することにある。容積型機
関の排気圧はその吸気圧にほぼ比例することから、本実施例では、過給圧が
高まるほどエキスパンダーの排気バルブの開タイミングを早める制御を行っ
ている。従って、容積型機関に排気圧センサーや出力トルクセンサーを備え
、その値に対してエキスパンダーの排気バルブの開タイミングを制御するこ
とも本発明概念に含まれる。しかし、スロットロルバルブを用いて容積型機
関の負荷を制御している場合には、スロットロルバルブ開度とエキスパンダ
ーの排気バルブの制御軸の角度を直接連動させることはできない。同じスロ
ットロルバルブ開度でも機関の回転数により大きく吸気圧が変化するからで
ある。この場合には、スロットロルバルブの開度と機関回転数のマップから
適切なエキスパンダーの排気バルブの開タイミングを算出する手段を備え、
それにより排気バルブの開タイミングを制御することが、本発明概念に含ま
れる。
[0040]  回生機としてエキスパンダーを用いた機関は、小型でパーシャル効率を重
視する使用目的で用いられることが多いと考えられる。パーシャル効率を重
視すると、本実施例のようにエキスパンダーの膨張室の容積を小さ目に設定
することになる。そのようなエキスパンターを効率良く働かせるには、機関
全体の吸気圧が高める場合、その前半でエキスパンダーの排気バルブの開タ
イミングを急速に変化させる必要がある。
実施例2
[0041]  図7は、6つのピストン110を有する、斜板式エキスパンダー兼コンプ
レッサー1の断面図である。ピストン110の右側がエキスパンダーの膨張室
121、左側がコンプレッサーの圧縮室321になっている。
[0042]  当該実施例のピストンの数を6という偶数としているのは、コンプレッサ
ーのピストンの半数を6サイクル機関の吸気ポートに供給する新気の過給に
用い、残りの半数は掃気ポートに供給する冷却された排気循環ガスの過給に
用いるためである。
[0043]  エキスパンダーの吸気バルブ130とコンプレッサーの排気バルブ340
は、直接出力軸101に取り付けられ、左方向から見て右に回転している。
[0044]  当該実施例では、エキスパンダーの排気バルブ140はコンプレッサーの
吸気バルブ330と一体となっている。全体としてエキスパンダーを包むよ
うに円筒状に形成されており、バルブ駆動ギヤ162,163を介してバル
ブ駆動シャフト161により回転駆動されている。バルブ駆動シャフト16
1は、出力軸101に取り付けられたスプロケット155からチェーン15
8、スプロケット156を介して駆動されている。
[0045]  当該バルブ140と一体に形成された駆動ギヤ163部の両側面は、バル
ブシフター175により位置を固定されている。このバルブシフター175
を介してバルブ140は左右に移動させることができる。本図では、バルブ
140は最も左にあり、アイドリング状態、すなわち0.5気圧の過給圧の
状態にある。
[0046]  図8は、図7のX-X断面図で、当該エキスパンダーのバルブとポートの
関係を表している。吸気ポート132及び排気ポート142は各膨張室に1
つずつ設けられているのに対して、吸気バルブの開口部131は吸気バルブ
130に1つのみ設けられている。当該吸気バルブ130は出力シャフト1
01とともに回転しているので、バルブの開口部131は斜板カム151に
対して常に同じ位置にあることになる。
[0047]  排気バルブ140にはバルブ開口部141が5ヶ所あり、バルブ140は
出力軸101とは反対方向に1/5の回転数で回転している。ピストンの数
をnとしたとき、バルブ開口部141の数は(n-1)であり、回転数は斜
板カム151の回転数(出力軸101の回転数)の1/(n-1)である。
[0048]  バルブ駆動ギヤ162,163の代わりにチェーンを用いた場合には、出
力軸101とバルブ140は同一方向に回転する。この場合には、バルブ開
口部の数は(n+1)、回転数は1/(n+1)とする必要がある。
[0049]  図9は、エキスパンダーの排気バルブ140のバルブ開口部141と排気
ポート142、及びコンプレッサーの吸気バルブ330のバルブ開口部33
1と吸気ポート332の展開配置図である。本実施例でも全開時の過給圧は
3気圧、アイドリング時の過給圧は0.5気圧に設定している。本図は、ア
イドリング状態、すなわち0.5気圧の過給圧の状態を示している。バルブ
の回転に伴い、バルブ開口部141、331は上方に動く。
[0050]  二点鎖線はバルブ140が最も右に移動した開角が広い場合、すなわち過
給圧が3気圧のポートの位置を表している。このように、バルブ140が左
右に移動することにより、エキスパンダーの排気バルブとコンプレッサーの
吸気バルブの開閉タイミングと開角が同時に変化する。
[0051]  図10のFig.Aは、本斜板式エキスパンダー兼コンプレッサー1と容
積型機関2の動力伝達系のスケルトン図である。エキスパンダー1からの駆
動力はVベルト411により容積型機関2に伝達され、容積型機関2の駆動
力とともにフライホイール30側1ヶ所から外部に出力される。
実施例3
[0052]  図10のFig.Bは、斜板式エキスパンダー兼コンプレッサー1と容積
型機関2のフルカン421を用いた動力伝達系を用いた実施例のスケルトン
図である。容積型機関はトルク変動が大きいため、回転慣性マスを持つエキ
スパンダーと剛性の高い駆動系を介して接続すると、駆動系に共振が発生し
やすい。本実施例では、斜板式エキスパンダー1から容積型機関2への動力
伝達はフルカン421を通して行なわれているので、共振する懸念が無い。
このフルカン421と並列して一方向クラッチ431があり、機関停止状態
からスターターで容積型機関2を始動した場合の駆動力をエキスパンダー1
に遅延無く伝達する。機関始動時にエキスパンダー兼コンプレッサー1が速
やかに回転し始めないと、機関の始動が出来ないからである。
[0053]  当該実施例は、Vベルトの代わりにチェーンを用いているので、耐久性の
点で優れている。Vベルトはその張力によりトルク伝達容量が決まるので、
駆動系に共振が発生しても必要以上のトルクは伝達しない利点がある反面、
スリップにより磨耗し、ゴムが経年劣化する欠点がある。スーパーチャージ
ャーの駆動トルクと比べると回生機の出力トルクは大きいので、このような
耐久性への考慮が必要になる。
実施例4
[0054]  図10のFig.Cは、実施例3と同様に、駆動系の共振を抑えるために
、トーションダンパー450を用いた動力伝達系のスケルトン図である。同
様にVベルトを用いていないので、耐久性、及び伝達効率の点で優れている
。また、連結チェーン441によるレシオを1とすれば、容積型機関と斜板式
エキスパンダーの一次慣性偶力を打ち消しあう位相で配置できる利点がある

[0055]  図11は、当該トーションダンパー450のトルク特性を、ねじれ角で表
した特性図である。エキスパンターから容積型機関を駆動する側へのねじれ
角を正としている。当該トーションダンパー450は正のねじれ角ではバネ
レートが小さく、トーション角が大きいのに対して、逆方向には小さい角度
でストッパーに当たり、トーション角は小さい。斜板式エキスパンダー1か
ら容積型機関2へ駆動力が伝達されているときは、トーションダンパーの働
きにより駆動系の剛性は低く、機関回転数より共振振動数が低くなり、共振
はすることはない。しかし、機関停止状態からスターターで容積型機関2を
始動した場合には、トーションダンパーのねじれ角は小さく、駆動力をエキ
スパンダー1に遅延無く伝達することが出来る。
[0056]  トーションダンパーのトーション角が両方向で大きいと、スターターで容
積型機関2を始動した場合にエキスパンダー1の起動が遅れ、ダンパーに大
きな変位角が与えられ、大きな弾性エネルギーが蓄えられる。そのため、エ
キスパンターが回転し始めると、その弾性エネルギーの開放によりエキスパ
ンダー1と容積型機関2が共振し、機械音を発することになる。これを防止
するために容積型機関からエキスパンターを駆動する側へのねじれ角を小さ
くしたものである。
実施例5
[0057]  図12は、単気筒容積型機関2とクランクピン102を共通としたエキス
パンダー兼コンプレッサー1の断面図である。本実施例では容積型機関の往
復部重量と合わせてクランクシャフト101によって一次慣性力を打ち消せ
るように、容積型機関に対して90°の配置を取っている。本実施例のピス
トンは蒸気機関などと同様のクロスヘッド型となっている。本実施例では容
積型機関2側がエキスパンダーの膨張室121となっており、その容積はコ
ンプレッサーの圧縮室321の容積と同一である。
[0058]  膨張室121と圧縮室321は、シリンダーのガスシール面構成部材52
0と、コンプレッサー排気ポート構成部材530で形成されている。その両
端には摺動面構成部材510、540があり、摺動面構成部材510でこれ
らのシリンダー構成部材510、520、530、540はクランクケース
550に固定されている。摺動面構成部材540にはオイルドレイン541
が形成されている。シリンダーは、機関停止時に摺動面115から潤滑油が
膨張室121や圧縮室321に落ちてくるのを防ぐため、おおよそ水平に配
置されている。
[0059]  エキスパンダーの吸気バルブ130はデスク状に形成され、膨張室121
を構成するガスシール面構成部材520の容積型機関側の端部に配置されて
いる。エキスパンダーの排気バルブ140は、コンプレッサーの吸気バルブ
330及びコンプレッサーの排気バルブ340と一体化している。
[0060]  本実施例ではこれらのバルブ130、140は出力軸101の1/5の回
転数で回転している。エキスパンダーの排気バルブ140は駆動ギヤ162
,163を介してバルブ駆動シャフト161により回転駆動されている。エ
キスパンダーの吸気バルブ130は排気バルブ140と爪で連動している。
バルブ駆動シャフト161は、出力軸101からヘリカルギヤ562、56
3を介して駆動されている。本図ではバルブ駆動シャフト161の配置を表
すために、二点差線の下の部分は構成部材510とケース550を省略した
外観図で示している。
[0061]  本実施例では、バルブの位置は移動せずに、エキスパンダーの排気ポート
142とコンプレッサーの吸気ポート332を構成しているポート部材57
0を左右に移動可能としている。ポート部材570と構成部材510、54
0との間には、円筒状のフレキシブルガスシール512、542がガスをシ
ールしている。図示していないが、エキスパンダーの排気ポート142は、
フレキシブルな配管により排気管に接続されている。
[0062]  図13は、図12のY-Y断面図で、当該コンプレッサーのバルブとポー
トの関係を表している。吸気バルブの開口部331と吸気ポート332の形
状は図9と同様であるが、その数は両方とも1シリンダーに対して5である
。バルブ330の内側の吸気ポート332の形状は円周方向に広くなってお
り、バルブの開閉タイミングに関与していない。各バルブの5ヶ所のバルブ
開口部331、341は対応する5ヶ所のポート332、342を同時に開
閉する。コンプレッサー側のバルブ130、140も同様である。
[0063]  これらのバルブのバルブ開口部の数をnとしたとき、バルブ回転数は出力
軸101の1/nである。バルブ開口部は省略できないが、ポートは配置の
都合で一部省略することが可能である。
産業上の利用可能性
[0064]  本発明は、パーシャル時にも効率低下の少ない回生機付容積型機関を提供
する。
[0065]  本発明による回生機付容積方機関は、パーシャル時の効率が向上するので
、特に移動体用の機関など、パーシャルの使用頻度の高い機関として利用可
能性が高い。回生機から容積型機関への動力伝達に変速機等を必要とせず、
動力伝達系が簡易になる。
[0066]  更に、吸気バルブに連続可変バルブ機構を備えたコンプレッサーを一体化
したエキスパンダー兼コンプレッサーを回生機兼過給機として用いれば、ス
ロットルバルブが省略可能となり、容積型機関のパーシャル時のポンピング
ロスを削減することができる。また、エキスパンダーの排気バルブとコンプ
レッサーの吸気バルブの連続可変バルブ機構の制御系を連動させることによ
り、単一の操作により連続的な効率の良い出力制御を行なうことが出来る。
[0067]  容積型機関の中で6サイクル機関は、排気への掃気の混入により排気温度
が低くなる特徴から、回生機としてエキスパンダーを利用することが容易で
ある。また、回生機を備えた内燃機関は、過給圧を高めるほど出力、効率と
も向上する。そのため、エキスパンダー兼コンプレッサーを回生機兼過給機
として備えた6サイクル機関は実現性が高く、パーシャル燃費の向上に大き
な効果があるので、移動体用の動力源として利用可能性が高い。
請求の範囲
[請求項1]  排気バルブに開タイミングを遅らせるほど総開角が狭くなる可変バ
ルブ機構を備えたエキスパンダーを、排気ガスの圧力を動力に変換す
る回生機として備え、機関全体の吸気圧が高まるほど前記排気バルブ
の開タイミングを早めることを特徴とした容積型機関。
[請求項2]  機関全体の吸気圧が高まるほどエキスパンダーの排気バルブの開タ
イミングを進めるが、吸気圧が高まる前半では、エキスパンダーの排
気バルブの開タイミングを急速に変化させることを特徴とした、請求
項1の容積型機関。
[請求項3]  エキスパンダーの排気バルブの可変バルブ機構が、開タイミングを
遅らせるほど閉タイミングも遅らせる可変バルブ機構であることを特
徴とした、請求項1の容積型機関。
[請求項4]  エキスパンダーのピストンの膨張室の反対側を過給機としてのコン
プレッサーの圧縮室としたことを特徴とした、請求項1の容積型機関

[請求項5]  エキスパンダーのピストンに摺動部に被せる形でコップ状に形成し
た傘状のヘッドを備え、当該傘状のヘッドの外周にエキスパンダーの
膨張室とコンプレッサーの圧縮室とを仕切るシール部を形成したこと
を特徴とした、請求項4の容積型機関。
[請求項6]  エキスパンダーの排気バルブ可変バルブ機構が、円筒状のロータリ
ーバルブを排気バルブとして備え、当該ロータリーバルブおよび排気
ポートはバルブ回転軸方向に幅の変化する開口部を備え、当該ロータ
リーバルブを回転軸方向に位置を変えるものであることを特徴とした
、請求項1の容積型機関。
[請求項7]  エキスパンダーの排気バルブ可変バルブ機構が、円筒状のロータリ
ーバルブを排気バルブとして備え、当該ロータリーバルブおよび排気
ポートはバルブ回転軸方向に幅の変化する開口部を備え、当該排気ポ
ートを排気バルブの回転軸方向に位置を変えるものであることを特徴
とした、請求項1の容積型機関。
[請求項8]  エキスパンダーの構成が複数の両面ピストンを供えた斜板式であり
、片側をエキスパンダー、反対側をコンプレッサーとした、請求項4
の容積型機関。
[請求項9]  エキスパンダーの構成が複数のピストンを供えた斜板式であって、
当該エキスパンダーの外周部に円筒状のロータリーバルブを排気バル
ブとして備え、ピストンの数をn個とすると当該排気バルブのバルブ
開口部の数は(n-1)であり、当該排気バルブは出力軸の回転に対
して1/(n-1)の回転数で逆回転することを特徴とした、請求項
6の容積型機関。
[請求項10]  エキスパンダーの構成が複数のピストンを供えた斜板式であって、
当該エキスパンダーの外周部に円筒状のロータリーバルブを排気バル
ブとして備え、ピストンの数をn個とすると当該排気バルブのバルブ
開口部の数は(n+1)であり、当該排気バルブは出力軸の回転に対
して1/(n+1)の回転数で同一方向に回転することを特徴とした
、請求項6の容積型機関。
[請求項11]  コンプレッサーの吸気バルブに、閉タイミングを早めるほど総開角
が狭くなる連続可変バルブ機構を備え、コンプレッサーの吸気バルブ
の閉タイミングを遅らせるほどエキスパンダーの排気バルブの開タイ
ミングを早くする連動機構を有することを特徴とした、請求項4の容
積型機関。
[請求項12]  コンプレッサーの吸気バルブの閉タイミングを遅らせるほどエキス
パンダーの排気バルブの開タイミングを早くするが、コンプレッサー
の吸気バルブの閉タイミングを遅らせる前半ではエキスパンダーの排
気バルブの開タイミングを急速に変化させることを特徴とした、請求
項11の容積型機関。
[請求項13]  エキスパンターと容積型機関の間にフルカンを介した動力伝達機構
を備え、当該フルカンに並列して容積型機関側からエキスパンターを
駆動する一方向クラッチを備えたことを特徴とした、請求項1乃至1
2のいずれか1項の容積型機関。
[請求項14]  エキスパンターと容積型機関の間にトーションダンパーを介した動
力伝達機構を備え、当該トーションダンパーはエキスパンターから容
積型機関を駆動する側にはねじれ角が大きく、逆方向には小さいこと
を特徴とした、請求項1乃至請求項12のいずれか1項の容積型機関

[請求項15]  エキスパンターとクランクピンを共通としたことを特徴とした、請
求項1乃至7もしくは請求項11乃至12のいずれか1項の容積型機
関。
要約書
  回生機としてのエキスパンダーの排気バルブに可変バルブ機構を備え、パーシャル
状態では、膨張室の中で一度ガスを過膨張させ、これを再度圧縮し、大気圧より膨張
室内圧が高まるタイミングに合わせて排気バルブを開くことにより、エキスパンダー
のポンピングロスを減らす。
本発明による回生機付容積型機関は、パーシャル時の効率が高く、回生機から容積型
機関への動力伝達に変速機等が不要となる。更に吸気バルブに連続可変バルブ機構を
備えたコンプレッサーを過給機としてエキスパンダーと一体に備えることで、過給圧
の制御により機関の出力を制御でき、スロットルバルブによる容積型機関のポンピン
グロスが削減できる。そのため、燃費向上の観点から、パーシャルの頻度の高い移動
体用の機関への利用は特に可能性が高い。
[図1]



[図2]



[図3]



[図4]



[図5]



[図6]



[図7]



[図8]



[図9]



[図10]



[図11]



[図12]



[図13]